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風邪をひいたら抗生剤?

みなさんは、風邪をひいたときにどのような対処をするでしょうか?「病院に行って抗生剤を出してもらおう」そう思っている方、いませんか?その考え、実は間違っているんです!

風邪は、私たちにとって一番身近でなじみ深い病気といえます。喉の痛み、鼻水、咳、発熱などの風邪症状は、ほとんどの人が経験しているでしょう。

しかし、風邪の治療には多くの誤解があり、その中でも特に「抗生剤」について勘違いをしている方がいるようなので、今回は風邪と抗生剤の関係について解説していきます。




★そもそも風邪の原因って?

いわゆる典型的な風邪とは、鼻やのど、気管支や肺に急性の炎症をきたす疾患の総称です。風邪の原因はウイルス感染が約90%を占めており、ライノウイルスやRSウイルス、アデノウイスル、コロナウイルスなど感染しても重症化しないウイルスがほとんどです。

しかしこのような風邪を引き起こすウイルスは200種類以上もあり、原因ウイルスを特定することはなかなか難しいのです。



★抗生剤って何?

抗生剤は、細菌に対して作用する薬です。

抗生剤は細菌の細胞壁を攻撃したり、細菌の増殖を妨げることで、細菌感染症を治療します。







★風邪に抗生剤は効くの?

ここで重要なのは、ウイルスとは細菌とは全く異なる微生物だということです。 つまり細菌に作用する抗生剤は、ウイルス性の風邪には効果がありません。抗生剤は、溶連菌感染症やとびひなどの、細菌による病気にのみ効果を発揮します。 とはいっても、なぜか風邪の時に抗生剤を処方されることがよくありますよね。これは、風邪が悪化して細菌感染(例:肺炎や溶連菌、ひどい急性副鼻腔炎など)を併発した場合に、その細菌感染を治療するためなのです。

風邪の原因の90%がウイルスといいましたが、残りの約10%の中に細菌や細菌以外による感染が含まれます。したがって、細菌性の風邪も起こりうるわけです。しかし、症状が特徴的で判別しやすい病気ならまだしも、熱や咳や鼻水といったいわゆる風邪症状だけ、というような場合、その原因がウイルスか細菌かを見分けるのは、困難を極めます。 ここで、「ウイルスか細菌かはっきりしないなら、念のため抗生剤を飲んでおけば安心でしょ」と思う方もいるかもしれません。しかし、それは大きな間違いなのです。



★抗生剤をむやみに使うと何が起こるの?

下痢を起こしやすい

抗生剤の副作用の一つとして、下痢があります。通常、私たちの身体の中には腸内環境を整えてくれる善玉菌がいて、悪い病気の細菌から私達の体を守ってくれています。しかし抗生剤を使うと、悪い細菌と一緒にこの善玉菌も死んでしまうため、腸内環境が乱れて下痢が起きやすくなるのです。


耐性菌が増える

耐性菌とは抗生剤の効かない細菌のことです。実は、抗生剤を使えば使うほど、細菌は薬に対抗しようとだんだん強く変化していく性質があります。耐性菌が増えるということは、これまで適切な治療で回復できていた感染症が薬で治らず重症化しやすくなるということなのです。抗生剤の濫用は、この耐性菌の発現が大きな問題となります。


★抗生剤は適切に使用を!

耐性菌を生まないためには、きちんと検査や採血をして、医師が細菌感染だと判断した場合にのみ抗生剤を使用すること、必要のない抗生剤を処方しないことが大事です。加えて、抗生剤を実際に使う私たちが薬を適切に使用することがとても重要になってきます。

病院や薬局で抗生剤をもらう際に「この抗生剤を5日間で飲み切ってください」と言われたのに、症状が治ったからといって途中でやめてしまったことはありませんか?一見症状が良くなったように見えても、実はまだ体の中に菌が残っている可能性があります。その状態で抗生剤をやめてしまうと、再び菌が増殖して症状がぶり返してしまうことがあるのです。 また、抗生剤を指示された量より減らして飲んだりすると、菌がまだ生き残っている状態で菌が抗生剤に慣れてしまい、かえって耐性菌へ変化しやすい環境を整えることになるのです。 耐性菌の拡大を防ぐためにも、抗生剤を服用する際は医師や薬剤師の指示をきちんと守って飲みましょう。


まとめ

風邪は大抵ウイルスが原因であり、抗生剤はそのような風邪に対して効果がありません。風邪の症状がみられたら、休息をとって水分をしっかり摂り、必要に応じて解熱剤や鎮咳剤を使用しましょう。抗生剤に頼るのではなく、自分の体の免疫システムに任せることが時には賢明です。もし抗生剤が必要と判断された場合は、医師・薬剤師の指示のもと適切に使いましょう。 また、普段から、手洗い・うがい、咳エチケット、ワクチン接種などの感染予防対策をしっかりと行い、自分や身の回りの人の健康を意識して生活していきましょう。

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